金. 4月 17th, 2026

R2年度 行政書士試験 本試験問題演習②
記述抜き154~170点(登載なし4問)
記述式16~18点
合計170~188/300点

5肢択一
基礎法学1/2(50%)
憲法3/5(60%)
行政法12/19(63.2%)
民法4/9(44.4%)
商法・会社法3/5(60%)
基礎知識9/10(90%)

多肢選択
憲法3/4 (75%)
行政法8/8 (100%)

【所感】
前回に比べて得点数は上がっているが、行政法であと3問正答数を増やしたい。記述が3問中2問壊滅。基礎知識が異常に簡単な年で、前回100%正答、今回90%正答となっている。基礎知識と記述式の大量得点がなくても合格点を叩き出せるようにしていきたい。

20時位まで良い感じで断酒できていたのだが、中央大学法学部通信課程の出願書類をプリントしにコンビニへ行ったところ、つい酒を買ってきてしまった。酒を飲みたくなる前に炭酸のジュースを飲む、満腹になるまで飯を食う、などが効果的だったので、プラス、「コンビニに行かない」を防御策として取り入れたい。

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以下、自分用

令和2年度

問題1  
 現代の法律上の用語として「〔 ア 〕」というのは、紛争当事者以外の第三者が〔 イ 〕の条件(内容)を紛争当事者に示して、当事者の合意(〔 イ 〕)によって紛争を解決するように当事者にはたらきかけること、を意味する。このような意味で〔 ア 〕は、法律上の用語としての「〔 ウ 〕」とは区別されなければならない。「〔 ウ 〕」というのは、紛争解決の手段として、紛争当事者以外の団参者たる私人(〔 ウ 〕人)・・・が紛争に対し或る決定を下すこと、を意味する。
 「〔 ア 〕」は、紛争当事者の合意によって紛争を解決すること(〔 イ 〕)を第三者が援助し促進することであって、紛争を終わらせるかどうかの最終決定権は当事者にあるのに対し、「〔 ウ 〕」においては、〔 ウ 〕人が紛争について決定を下したときは、紛争当事者はそれに拘束されるのであって・・・、この点で〔 ウ 〕は〔 エ 〕に似ている・・・。
(中略)
 しかし、このような用語法は、西洋の法意識を前提としてそれに立脚したものであって、わが国の日常用語では、「〔 ア 〕」と「〔 ウ 〕」という二つのことばの間には明確な区別がない。『広辞苑』には、「〔 ア 〕」ということばの説明として、「双方の間に立って争いをやめさせること。中に立って双方を円くまとめること。〔 ウ 〕」と書かれている。そうして、奇しくもこの説明は、日本の伝統的な紛争解決方法においては〔 ア 〕と〔 ウ 〕とが明確に分化していなかったという事実を、巧まずして示しているのである。(出典 川島武宜「日本人の法意識」1967年から<送り仮名を改めた部分がある。>)

〔 ア 〕調停

〔 イ 〕和解 

〔 ウ 〕仲裁

〔 エ 〕裁判 

■ 仲裁法

(仲裁判断の承認)

第四十五条 仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)は、確定判決と同一の効力を有する。ただし、当該仲裁判断に基づく民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならない。

2 前項の規定は、次に掲げる事由のいずれかがある場合(第一号から第七号までに掲げる事由にあっては、当事者のいずれかが当該事由の存在を証明した場合に限る。)には、適用しない。

 一 仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。

 二 仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。

 三 当事者が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。

 四 当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。

 五 仲裁判断が、仲裁合意又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。

 六 仲裁廷の構成又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。

 七 仲裁地が属する国(仲裁手続に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該国)の法令によれば、仲裁判断が確定していないこと、又は仲裁判断がその国の裁判機関により取り消され、若しくは効力を停止されたこと。

 八 仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。

 九 仲裁判断の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。

3 前項第五号に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分及び当該仲裁判断のその他の部分をそれぞれ独立した仲裁判断とみなして、同項の規定を適用する。

■ 家事事件手続法

(調停前置主義)

第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。

■ 民法

(和解)

第六百九十五条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

(和解の効力)

第六百九十六条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれをゆうしないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

巧まずして

AI による概要
「巧まずして(たくまざるして)」とは、「わざとらしくなく、自然に、技巧を凝らさずに」という意味で、「巧(たくみ)」は巧みな技術やわざを指し、「まずして(まずるして)」は「わざと、意識して」という意味の「まじる」の活用形に打ち消しや逆接の「ず」が付いた形で、「技巧を凝らさない」状態を表します。類語は「偶々(たまたま)」「計らずも」「期せずして」など、意図しない自然な結果を指すことが多いです。

問題2 簡易裁判所

ウ 〇
簡易裁判所で行う民事訴訟では、訴えは口頭でも提起することができる。

・民事訴訟法271条

エ 〇
少額訴訟による審理および裁判には、同一人が同一の簡易裁判所において同一の年に一定の回数を超えて求めることができないとする制限がある。

・同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数(10回)を超えてこれを求めることができない(民事訴訟法368条)

オ ×
簡易裁判所判事は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより、支払督促をすることができる。

・簡易裁判所判事ではなく、裁判所書記官(民事訴訟法382条本文)

■ 民事訴訟法

 第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則

(手続の特色)
第二百七十条 簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。

(口頭による訴えの提起)

第二百七十一条 訴えは、口頭で提起することができる。

(少額訴訟の要件等)

第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。

2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。

3 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。

(支払督促の要件)

第三百八十二条 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。

問題3
 未決勾留は、刑事訴訟法の規定に基づき、逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として、被疑者又は被告人の〔 ア 〕を監獄内に限定するものであて、右の勾留により拘禁された者は、その限度で〔 イ 〕的行動の自由を制限されるのみならず、前記逃亡又は罪証隠滅の防止の目的のために必要かつ〔 ウ 〕的な範囲において、それ以外の行為の自由をも制限されることを免れない・・・。また、監獄は、多数の被拘禁者を外部から〔 エ 〕して収容する施設であり、右施設内でこれらの者を集団として管理するにあたっては、内部における規律及び秩序を維持し、その正常な状態を保持する必要があるから、・・・この面から〔 イ 〕的自由及びその他の行為の自由に一定の制限が加えられることは、やむをえないところというべきである・・・被拘禁者の新聞紙、図書等の閲読の自由を制限する場合・・・具体的事情のもとにおいて、その閲読を許すことにより監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の〔 オ 〕性があると認められることが必要であり、かつ、・・・制限の程度は、右の障害発生防止のために必要かつ〔 ウ 〕敵な範囲にとどまるべきものと解するのが相当である。(最大判昭和58年6月22日民集第37巻5号793頁)

〔 ア 〕居住

〔 イ 〕身体

〔 ウ 〕合理

〔 エ 〕隔離

〔 オ 〕蓋然

問題4 表現の自由

1 〇
表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を扇動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である

2〇
表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。

3 〇
表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。

■ 表現内容中立規制

・この区域の電柱に張り紙をしてはならない

・深夜に近隣に迷惑を与える騒音を出してはならない

4 〇
表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。

5×
表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明瞭であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。

・明確性の理論(漠然性故に無効の法理)

・過度に広汎性ゆえに無効の法理

・合憲限定解釈

税関検査合憲判決「表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない」(最大判昭和59年12月12日)

判例「広島市暴走族追放条例16条1項1号,17条,19条の規定を限定解釈により憲法21条1項,31条に違反しないとした事例」

「広島市暴走族追放条例16条1項1号にいう「集会」は,暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外,服装,旗,言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団によって行われるものに限定されると解され,このように解釈すれば,同条例16条1項1号,17条,19条は,憲法21条1項,31条に違反しない。」

(最判平成19年9月18日)

問題5 下線部の趣旨に最も適合しないものはどれか

 議員が独立的機関であるなら、みずからの権能について、行使・不行使をみずから決定しえなければならない。議員の権能行使は、議院の自律にまかせられるを要する。けれども、憲法典は、通常、議院が、このような自律権を有することを明文で規定しない。独立の地位をもつことの、当然の帰結だからである。これに比べれば制度上の意味の限定的な議員の不逮捕特権や免責特権がかえって憲法典に規定されるのは、それが、独立的機関の構成員とされることからする当然の帰結とは考ええないことによる。憲法典に規定されなくても、議院の自律権は、議院の存在理由を確保するために不可欠で、議員特権などより重い意味を持っている。
 しかし、日本国憲法典をじっくり味読するなら、

議院に自律権あることを前提とし、これあることを指示する規定がある。

(出典 小嶋和司「憲法学講話」1982年から)

1 〇
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。

3 〇
両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。

4 〇
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。

5 〇
両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。

味読(みどく)

AI による概要

味読(みどく)とは、文章の内容や情味、言葉の響きを深く味わいながら、じっくりと丁寧に進める読書法です。単なる理解を超え、描写に浸る感覚的な読書を指します。詩歌や名作、心に響くビジネス書などを対象に、内容と自分を同化させるような読み方が特徴です。

問題6 衆議院の解散

2 ×
内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に意見無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。

・衆議院の解散に、司法審査は及ばない

5 〇
天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。

■ 日本国憲法

第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二 国会を召集すること。

三 衆議院を解散すること。

四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七 栄典を授与すること。

八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九 外国の大使及び公使を接受すること。

十 儀式を行ふこと。

問題7 憲法訴訟における違憲性の主張適格が問題となった第三者没収に関する最高裁判所の判決

ア 〇
第三者の所有物の没収は、所有物を没収される第三者にも告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であり、これなしに没収することは、適正な法律手続によらないで財産権を侵害することになる。

イ 〇
かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、それが被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告することができる。

ウ 〇
被告人としても、その物の占有権を剥奪され、これを使用・収益できない状態におかれ、所有権を剥奪された第三者から賠償請求等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告により救済を求めることができるものと解すべきである。

問題8
 次の文書は、食中毒事故の原因食材を厚生大臣(当時)が公表したこと(以下「本件公表」という。)について、その国家賠償責任が問われた訴訟の判決文である。

 食中毒事故が起こった場合、その発生原因を特定して公表することに関して、直接これを定めた法律の規定が存在しないのは原告の指摘するとおりである。しかし、行政機関が私人に関する事実を公表したとしても、それは直接その私人の権利を制限しあるいはその私人に義務を課すものではないから、行政行為には当たらず、いわゆる非権力的事実行為に該当し、その直接の根拠となる法律上の規定が存在しないからといって、それだけで直ちに違法の問題が生じることはないというべきである。もちろん、その所管する事務とまったくかけ離れた事項について公表した場合には、それだけで違法の問題が生じることも考えられるが、本件各報告の公表はそのような場合ではない。すなわち、厚生省は、公衆衛生行政・食品衛生行政を担い、その所管する食品衛生法は、「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を目的としている(法1条)のであるから、本件集団下痢症の原因を究明する本件各報告の作成・公表は、厚生省及び厚生大臣の所管する事務の範囲内に含まれることは明らかである。このように、厚生大臣がその所管する事務の範囲内において行い、かつ、国民の権利を制限し、義務を課すことを目的としてなされたものではなく、またそのような効果も存しない本件各報告の公表について、これを許容する法律上の直接の根拠がないからといって、それだけで直ちに法治主義違反の違法の問題が生じるとはいえない。(大阪地裁平成14年3月15日判決・判例時報1783号97頁)

1 〇
法律の留保に関するさまざまな説のうち、いわゆる「侵害留保説」が前提とされている。

2 〇
行政庁が所掌事務からまったく逸脱した事項について公表を行った場合、当該公表は違法性を帯びることがありうるとの立場がとられている。

3 〇
義務違反に対する制裁を目的としない情報提供型の「公表」は、非権力的事実行為に当たるとの立場がとられている。

4 〇
集団下痢症の原因を究明する本件各報告の公表には、食品衛生法の直接の根拠が存在しないとの立場がとられている。

■ 侵害留保説

国民の権利を制限したり義務を課す場合には、法律の根拠が必要であるとする考え方。

問題9 行政行為(処分)

1 〇
処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。

判例「瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から、客観的に明白である場合を指すものと解すべきである」(最判昭和36年3月7日)

5 ×
旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

判例「この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである」

「かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異なり、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする」

(最判昭和29年1月21日)

判例「行政処分の瑕疵が明白であるということの意義。」

「行政処分の瑕疵が明白であるということは、処分要件の存在を肯定する処分庁の認定の誤認であることが、処分成立の当初から、外形上、客観的に明白であることをさすものと解すべきである。」

「瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に、誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきものであつて(後略)」

(最判昭和36年3月7日)

判例「公務員任免の効果発生時期と官報による公示」

「特定の公務員の任免の如き行政庁の処分は、特定の規程のない限り、意思表示の一般的法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時、即ち辞令書の交付その他公の通知によつて、相手方が現実にこれを了知し、またはその意思表示が相手方の了知し得べき状態におかれた時に、その効果を生ずるものと解すべきであつて、それが官報に登録され、公示されたことによつて、その効果を生ずるものと解すべきではない。」

(最判昭和29年8月24日)

判例「課税処分が当然無効と解される場合」

「課税処分に課税要件の根幹に関する内容上の過誤が存し、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合には、当該処分は、当然無効と解するのが相当である。」

「上告人らは、前記のように、(一)(二)土地および(三)建物のいずれをも所有したことがなく、その真の譲渡人はDであり、したがつて、譲渡所得はほんらい同人に帰属し、上告人らについては全く発生していないのであるから、本件課税処分は、譲渡所得の全くないところにこれがあるものとしてなされた点において、課税要件の根幹についての重大な過誤をおかした瑕疵を帯有するものといわなければならない。」

(最判昭和48年4月26日)

判例「いわゆる実子あつせんをしたことを理由に優生保護法14条1項による指定医師の指定を撤回することができるとされた事例」

「優生保護法14条1項による指定を受けた医師が、虚偽の出生証明書を発行して他人の嬰児をあつせんするいわゆる実子あつせんを長年にわたり多数回行つたことが判明し、そのうちの一例につき医師法違反等の罪により罰金刑に処せられたため、右指定の撤回により当該医師の被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合に、指定権限を付与されている都道府県医師会は、右指定を撤回することができる。」

「法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定医師の指定の権限を付与されている被上告人医師会は、その権限において上告人に対する右指定を撤回することができる(後略)」

(最判昭和63年6月17日)

判例「農地買収計画を取り消した訴願裁決を裁決庁が自ら取り消すことの適否」

「訴願裁決で農地買収計画を取り消した後に、裁決庁が自ら右訴願裁決を取り消すことは原則としてゆるされない。」

「この裁決が行政処分であることは言うまでもないが、実質的に見ればその本質は法律上の争訟を裁判するものである。(中略)かかる性質を有する裁決は、他の一般行政処分とは異り、特別の規定がない限り、原判決のいうように裁決庁自らにおいて取消すことはできないと解するを相当とする。」

(最判昭和29年1月21日)

問題10 普通地方公共団体が締結する契約

2 〇
売買、賃借、請負その他の契約を、指名競争入札、随意契約またはせり売りの方法により締結することができるのは、政令が定める場合に該当するときに限られる。

・指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによりすることができる(地方自治法234条第2項)

4 ×
随意契約の手続に関し必要な事項は、当該普通地方公共団体が条例でこれを定める。

・随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める(地方自治法234条第6項)

■ 地方自治法

 第二節 権限

第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。

 一 条例を設け又は改廃すること。

 二 予算を定めること。

 三 決算を認定すること。

 四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。

 五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。

 六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。

 七 不動産を信託すること。

 八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。

 九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。

 十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。

 十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。

 十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第二項に規定する処分又は同条第三項に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において同じ。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項(同法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。

 十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。

 十四 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。

 十五 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項

2 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。

(契約の締結)

第二百三十四条 売買、賃借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。

2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによりすることができる。

3 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令に定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。

4 普通地方公共団体が競争入札につき入札保証金を納付させた場合において、落札者が契約を締結しないときは、その者の納付に係る入札保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。

5 普通地方公共団体が契約につき契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が相手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長若しくはその委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等これらの者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は確定しないものとする。

6 競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

問題11 行政手続法の用語

3 〇
「処分基準」とは、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。

■ 行政手続法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

 二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

 三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

 四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

  イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分

  ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分

  ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分

  ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

 五 行政機関 次に掲げる機関をいう。

  イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、会計検査院若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員

  ロ 地方公共団体の機関(議会を除く。)

 六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

 七 届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。

 八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。

  イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則

  ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

問題12 行政手続法の規定する聴聞と弁明の機会の付与

1 〇
聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は代理人を選任することができる。

■ 行政手続法

(不利益処分をしようとする場合の手続)

第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。

 一 次のいずれかに該当するとき 聴聞

  イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。

  ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
  ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。

  二 イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。

 ニ 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与

2 次の各号のいずれかに該当するときは前項の規定は、適用しない。

 一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。

 二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。

 三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて順守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。

 四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。

 五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。

(不利益処分の理由の提示)

第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。

3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。

  第二節 聴聞

(聴聞の通知の方式)

第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

 一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項

 二 不利益処分の原因となる事実

 三 聴聞の期日及び場所

 四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地

2 前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。

 一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類を提出することができること。

 二 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

(代理人)

第十六条 前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。

2 代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。

3 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。

4 代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。

(参加人)

第十七条 第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。

2 前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、代理人を選任することができる。

3 前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは、「参加人」と読み替えるものとする。

(文書等の閲覧)

第十八条 当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第二十四条第三項において「当事者」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。

2 前項の規定は、当事者が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。

3 行政庁は、前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。

(弁明の機会の付与の方式)

第二十九条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。

2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。

(弁明の機会の付与の通知の方式)

第三十条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間において、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

 一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項

 二 不利益処分の原因となる事実

 三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

(聴聞に関する手続の準用)

第三十一条 第十五条第三項及び第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第十五条第三項中「第一項」とあるのは「第三十条」と、「同項第三号及び第四号」とあるのは「同条第三号」と、第十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条」と、「同条第三項後段」とあるのは「第三十一条において準用する第十五条第三項後段」と読み替えるものとする。

(聴聞の通知の方式)

第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

 一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項

 二 不利益処分の原因となる事実

 三 聴聞の期日及び場所

 四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地

2 前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。

 一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。

 二 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。 

(代理人)

第十六条 前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。

2 代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。

3 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。

4 代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。

問題13 行政手続法の定める申請の取扱い

イ 〇
許認可等を求める申請に必要な書類が添付されていない場合、行政庁は、速やかに、相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

エ 〇
行政庁が申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導を行うことは、申請者がそれに従う意思がない旨を表明したにもかかわらずこれを継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない。

■ 行政手続法

(標準処理期間)

第六条 行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、合わせて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときはこれらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

(申請に対する審査、応答)

第七条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(申請に関連する行政指導)

第三十三条 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

問題14 行政不服審査法

ア 〇
審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査請求人の地位を承継することができるが、その場合は、審査庁の許可を得ることが必要である。

・行政不服審査法15条第6項

・土地に係る申請で、土地の所有権を承継した場合など

ウ ×
法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされないときは、当該行政庁の不作為について、当該処分を求める審査請求をすることができる。

・不作為とは、法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないこと

エ 〇
一定の利害関係人は、審理員の許可を得て、参加人として当該審査請求に参加することができるが、参加人は、審査請求人と同様に、口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えられ、証拠書類または証拠物を提出することができる。

■ 行政不服審査法

(経過措置)

第三条 行政庁の処分又は不作為についての不服申立てであって、この法律の施行前にされた行政庁の処分又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、なお従前の例による。

(総代)

第十一条 多数人が共同して審査請求をしようとするときは、三人を超えない総代を互選することができる。

2 共同審査請求人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、第九条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)は、総代の互選を命ずることができる。

3 総代は、各自、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを除き、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。

4 総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。

5 共同審査請求人に対する行政庁の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。

6 共同審査請求人は、必要があると認める場合には、総代を解任することができる。

(参加人)

第十三条 利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。

2 審理員は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。

3 審査請求への参加は、代理人によってすることができる。

4 前項の代理人は、各自、第一項又は第二項の規定により当該審査請求に参加する者(以下「参加人」という。)のために、当該審査請求への参加に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求への参加の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

(審理手続の承継)

第十五条 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

2 審査請求人について合併又は分割(審査請求の目的である処分に係る権利を承継させるものに限る。)があったときは、合併後存続する法人その他の社団若しくは合併により設立された法人その他の社団若しくは財団又は分割により当該権利を承継した法人は、審査請求人の地位を承継する。

3 前二項の場合には、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は法人その他の社団若しくは財団は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。この場合には、届出書には、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添付しなければならない。

4 第一項又は第二項の場合において、前項の規定による届出がされるまでの間において、死亡者又は合併前の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割をした法人に宛ててされた通知が審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は合併後の法人その他の社団若しくは財団若しくは分割により審査請求人の地位を承継した法人に到達したときは、当該通知は、これらの者に対する通知としての効力を有する。

5 第一項の場合において、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者が二人以上あるときは、その一人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなす。

6 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。

(審査請求期間)

第十八条 処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3 次条に規定する審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条六項に規定する一般信書便若しくは同条九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便で提出した場合における前二項に規定する期間(以下「審査請求期間」という。)の計算については、送付に要した日数は、参入しない。

(口頭意見陳述)

第三十一条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

2 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。

3 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる

4 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

(証拠書類等の提出)

第三十二条 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。

2 処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。

3 前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

問題15 再審査請求について定める行政不服審査法

2 〇
審査請求の対象とされた処分(原処分)を適法として棄却した審査請求の裁決(原裁決)があった場合に、当該審査請求の裁決に係る再審査請求において、原裁決は違法であるが、原処分は違法でも不当でもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。

・行政不服審査法64条第3項

4 ×
再審査請求をすることができる処分について、審査請求の裁決が既になされている場合には、再審査請求は当該裁決を対象として行われなければならない。

・再審査請求は、原裁決、又は当該処分を対象としている

■ 行政不服審査法

(再審査請求)

第六条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。

2 再審査請求は、原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。以下同じ。)又は当該処分(以下「原裁決等」という。)を対象として、前項の法律に定める行政庁に対してするものとする。

(再審査請求期間)

第六十二条 再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して一月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 再審査請求は、原裁決があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

(再審査請求の却下又は棄却の裁決)

第六十四条 再審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を却下する。

2 再審査請求が理由がない場合には、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。

3 再審査請求に係る原裁決(審査請求を却下し、又は棄却したものに限る。)が違法又は不当である場合において、当該審査請求に係る処分が違法又は不当のいずれでもないときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却する。

4 前項に規定する場合のほか、再審査請求に係る原裁決等が違法又は不当ではあるが、これを取消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、再審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、原裁決等を取消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、再審査庁は、裁決で、当該再審査請求を棄却することができる。この場合には、再審査庁は、裁決の主文で、当該原裁決等が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

問題16 不作為についての審査請求について定める行政不服審査法の規定

イ 〇
不作為についての審査請求について理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

ウ 〇
不作為についての審査請求について理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法または不当である旨を宣言する。

■ 行政不服審査法

(不作為についての審査請求の裁決)

第四十九条 不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 不作為についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる。

 一 不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為に対し、当該処分をすべき旨を命ずること。

 二 不作為庁である審査庁 当該処分をすること

4 審査請求に係る不作為に係る処分に関し、第四十三条第一項第一号に規定する議を経るびき旨の定めがある場合において、審査庁が前項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該定めに係る審議会等の議を経ることができる。

5 前項に規定する定めがある場合のほか、審査請求に係る不作為に係る処分に関し、他の法令に関係行政機関との協議の実施その他の手続をとるべき旨の定めがある場合において、審査庁が第三項各号に定める措置をとるために必要があると認めるときは、審査庁は、当該手続をとることができる。

問題17 協議の訴えの利益

イ 〇
土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

エ 〇
都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

判例「森林法27条1項にいう「直接の利害関係を有する者」として保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格が認められた事例」

「農業用水の確保を目的とし、洪水予防、飲料水の確保の効果をも配慮して指定された保安林の指定解除により洪水緩和、渇水予防上直接の影響を被る一定範囲の地域に居住する住民は、森林法27条1項にいう「直接の利害関係を有する者」として、右解除処分取消訴訟の原告適格を有する。」

「その指定に当たつては、右農業用水の確保のほか、洪水予防、飲料水の確保という効果も配慮され、右処分によるその実現が期待されていたものと認め、これらの利益を右の個別的・具体的な法的利益とし、進んで右の見地から、本件保安林の有する理水機能が直接重要に作用する一定範囲の地域、すなわち保安林の伐採による理水機能の低下により洪水緩和、渇水予防の点において直接に影響を被る一定範囲の地域に居住する住民についてのみ原告適格を認めるべきものとしている(後略)」

(最判昭和57年9月9日)

判例「土地改良事業の工事等が完了して原状回復が社会通念上不可能となった場合と右事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益の帰すう」

「町営の土地改良事業の工事等が完了して原状回復が社会通念上不可能となった場合であっても、右事業の施行の認可の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。」

「本件訴訟において、本件認可処分が取り消された場合に、本件事業施行地域を本件事業施行以前の原状に回復することが、本件訴訟係属中に本件事業計画に係る工事及び換地処分がすべて完了したため、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、右のような事情は、行政事件訴訟法31条の適用に関して考慮されるべき事柄であって、本件認可処分の取消しを求める上告人の法律上の利益を消滅させるものではないと解するのが相当である。」

(最判平成4年1月24日)

判例「工事が完了した場合における建築確認の取消を求める訴えの利益の有無」

「建築基準法6条1項による確認を受けた建築物の建築等の工事が完了したときは、右確認の取消を求める訴えの利益は失われる。」

「建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。」

(最判昭和59年10月26日)

判例「市街化調整区域内における開発行為に関する工事が完了し検査済証が交付された後における開発許可の取消しを求める訴えの利益」

「市街化調整区域内にある土地を開発区域として都市計画法(平成26年法律第42号による改正前のもの)29条1項による開発許可を受けた開発行為に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。」

「開発許可の取消しを求める者は,当該開発行為に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しによって,その効力を前提とする上記予定建築物等の建築等が可能となるという法的効果を排除することができる。」

(最判平成27年12月14日)

問題18 行政事件訴訟法が定める出訴期間

1 ×
処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。

・処分又は裁決があったことを知った日から六カ月(14条1項)

・処分又は裁決の日から一年(14条2項)

2 〇
処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6箇月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

・行政事件訴訟法14条第3項

■ 行政事件訴訟法

(出訴期間)

第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知ったひから六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3 処分または裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があったことを知った日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

問題19 行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟

3 〇
義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。

・義務付け訴訟では、取消訴訟の多くの規定を準用している

・準用しているもの

 被告適格、裁判管轄、判決の拘束力

・準用していないもの

 第三者効、出訴期間、釈明処分の特則、執行停止

4 ×
処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。

・仮の義務付けは、単独で申立てできない

・仮の義務付けは、訴訟類型ではなく、あくまでも仮の権利保護制度

■ 行政事件訴訟法

(抗告訴訟)

第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。

2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。

5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

 一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

 二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。

7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

(義務付けの訴えの要件等)

第三十七条の二 第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損がを生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

3 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断についえは、第九条第二項の規定を準用する。

5 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。

第三十七条の三 第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。

 一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。

 二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。

2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。

3 第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。

 一 第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え

 二 第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え

4 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。

5 義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えの利益に係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分または裁決をすべき旨を命ずる判決をする。

6 第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。

7 第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。

(仮の義務付け及び仮の差止め)

第三十七条の五 義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。

2 差止めの訴えの提起があった場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。

3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

4 第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。

(執行停止)

第二十五条 処分の取消し訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

2 処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない。

5 第二項の決定は、疎明に基づいてする。

6 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。

7 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

8 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

(事情変更による執行停止の取消し)

第二十六条 執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもって、執行停止の決定を取り消すことができる。

2 前項の申立てに対する決定及びこれに対する不服については、前条第五項から第八項までの規定を準用する。

(内閣総理大臣の異議)

第二十七条 第二十五条第二項の申立てがあった場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があった後においても、同様とする。

2 前項の異議には、理由を附さなければならない。

3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。

4 第一項の異議があったときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。

5 第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない

6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなけれb、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。

(執行停止の管轄裁判所)

第二十八条 執行停止又はその決定の取消しの申立ての管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。

(取消判決等の効力)

第三十二条 処分又は裁決を取り消す裁決は、第三者に対しても効力を有する。

2 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。

第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。

3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。

4 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。

(仮の義務付け及び仮の差止め)

第三十七条の五 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。

2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。

3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

4 第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。

5 前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。

(取消訴訟に関する規定の準用)

第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

2 第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。

3 第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。

4 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。

問題20 国家賠償法

イ 〇
税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。

ウ ×
国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

エ 〇
国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

判例「保健所に対する国の嘱託に基づいて国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた保健所勤務の医師の行為に過誤があつた場合と受診者に対する国の損害賠償責任の有無」

「保健所に対する国の嘱託に基づいて地方公共団体の職員である保健所勤務の医師が国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた場合において、右医師の行つた検診又はその結果の報告に過誤があつたため受診者が損害を受けても、国は、国家賠償法1条1項又は民法715条1項の規定による損害賠償責任はない。」

「レントゲン写真による検診及びその結果の報告は、医師が専らその専門的技術及び知識経験を用いて行う行為であつて、医師の一般的診断行為と異なるところはないから、特段の事由のない限り、それ自体としては公権力の行使たる性質を有するものではないというべきところ、本件における右検診等の行為は、本件健康診断の過程においてされたものとはいえ、右健康診断におけるその余の行為と切り離してその性質を考察、決定することができるものであるから、前記特段の事由のある場合にあたるものということはできず、したがつて、右検診等の行為を公権力の行使にあたる公務員の職務上の行為と解することは相当でないというべきである。(中略)

 右検診等の行為が林野税務署長の保健所への嘱託に基づき訴外岡山県の職員である同保健所勤務の医師によつて行われたものであるとすれば、右医師の検診等の行為は右保健所の業務としてされたものというべきであつて、たとえそれが林野税務署長の嘱託に基づいてされたものであるとしても、そのために右検診等の行為が上告人国の事務の処理となり、右医師があたかも上告人国の機関ないしその補助者として検診等の行為をしたものと解さなければならない理由はないから、右医師の検診等の行為に不法行為を成立せしめるような違法があつても、そのために上告人が民法の前記法条による損害賠償責任を負わなければならない理由はないのである。」

(最判昭和57年4月1日)

判例「収入金額を確定申告の額より増額しながら必要経費の額を確定申告の額のままとしたため所得金額を過大に認定した所得税の更正が国家賠償法上違法でないとされた事例」

「税務署長が収入金額を確定申告の額より増額しながら必要経費の額を確定申告の額のままとして所得税の更正をしたため、所得金額を過大に認定する結果となったとしても、確定申告の必要経費の額を上回る金額を具体的に把握し得る客観的資料等がなく、また、納税義務者において税務署長の行う調査に協力せず、資料等によって確定申告の必要経費が過少であることを明らかにしないために、右の結果が生じたなど判示の事実関係の下においては、右更正につき国家賠償法1条1項にいう違法があったということはできない。」

「本件各更正における所得金額の過大認定は、専ら被上告人において本件係争各年分の申告書に必要経費を過少に記載し、本件各更正に至るまでこれを訂正しようとしなかったことに起因するものということができ、奈良税務署長がその職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をした事情は認められないから(後略)」

「税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である。」

(最判平成5年3月11日)

判例「国家賠償と賠償責任の負担者」

「公権力の行使に当る公務員の職務行為に基く損害については、国または公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に当つた公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない。」

「上告人等の損害賠償等を請求する訴について考えてみるに、右請求は、被上告人等の職務行為を理由とする国家賠償の請求と解すベきであるから、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであつて、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない。」

「県知事を相手方とする訴は不適法であり、また県知事個人、農地部長個人を相手方とする請求は理由がないことに帰する。」

(最判昭和30年4月19日)

判例「国家賠償法第1条にいう公務員が職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものとされた事例。」

「巡査が、もつぱら自己の利をはかる目的で、制服着用の上、警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で同人を射殺したときは、国家賠償法第1条にいう、公務員がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものと解すべきである。」

「同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもつてする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもつてする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによつて、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもつて、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」

(最判昭和31年11月30日)

■ 国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

問題21 国家賠償法

5 〇
検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価をうけるということにはならない。

判例「宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない免許の付与ないし更新をした知事の行為と国家賠償法1条1項の違法性」

「宅地建物取引業者に対する知事の免許の付与ないし更新が宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない場合であっても、知事の右行為は、右業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たるものではない。」

(最判平成元年11月24日)

判例「指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体と行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」」

「指定確認検査機関による建築基準法6条の2第1項の確認に係る建築物について,同法6条1項の確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たる。」

「指定確認検査機関による確認に関する事務は,建築主事による確認に関する事務の場合と同様に,地方公共団体の事務であり,その事務の帰属する行政主体は,当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であると解するのが相当である。」

(最判平成17年6月24日)

判例「右認定申請を受けた処分庁が不当に長期間にわたらないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務に違反したといえるための要件」

「右認定申請を受けた処分庁には、不当に長期間にわたちないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務があり、右の作為義務に違反したというためには、客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分ができなかったことだけでは足りず、その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要である。」

「一般に、処分庁が認定申請を相当期間内に処分すべきは当然であり、これにつき不当に長期間にわたって処分がされない場合には、早期の処分を期待していた申請者が不安感、焦燥感を抱かされ内心の静穏な感情を害されるに至るであろうことは容易に予測できることであるから、処分庁には、こうした結果を回避すべき条理上の作為義務があるということができる。」

「知事が故意にこうした結果を回避しなかったか又は回避すべき義務を怠った点に過失があったことになるのかどうかについても、判断することができない。
3 そうすると、右の点につき認定判断することなく、知事の処分の遅延を被上告人らに対する過失による違法な侵害行為としてとらえ不法行為の成立を認めた原審の認定及び判断には、国家賠償法1条1項の解釈を誤ったか、経験則違背ひいては審理不尽ないし理由不備の違法がある(後略)」

(最判平成3年4月26日)

判例「争訟の裁判と国家賠償責任」

「裁判官がした争訟の裁判につき国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、右裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする。」

(最判昭和57年3月12日)

判例「無罪判決の確定と捜査及び訴追の違法性」

「無罪の刑事判決が確定したというだけで直ちに当該刑事事件についてされた逮捕、勾留及び公訴の提起・追行が違法となるものではない。」

「逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。」

(最判昭和53年10月20日)

問題22 住民について定める地方自治法の規定

ア 〇
市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

ウ 〇
住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

■ 地方自治法

 第二章 住民

第十条 市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。

2 住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

第十一条 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

第十二条 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例((地方税の賦課徴収並びに負担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有する。

2 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する。

第十三条 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する。

2 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員、長、副知事若しくは副市長村長、第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の解職を請求する権利を有する。

3 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の教育委員会の委員長又は委員の解職を請求する権利を有する。

第十三条の二 市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

問題23 地方自治法の定める自治事務と法定受託事務

5 〇
都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を構ずべきであることを勧告することができる。

■ 関与(地方自治法245条)

・自治事務に関する関与

①助言

②勧告

③資料の提出の要求

④是正の要求

⑤協議

・法定受託事務に関する関与

①助言

②勧告

③資料の提出の要求

④協議

⑤同意

⑥許可、認可又は承認

⑦指示

⑧代執行

■ 地方自治法

 第一編 総則

第二条 地方公共団体は、法人とする

2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理されることとされるものを処理する。

3 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。

4 市町村は、前項の規定にかかわらず、次項の規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。

5 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及び規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。

6 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当たっては、相互に競合しないようにしなければならない。

7 特別地方公共団体は、この法律に定めるところにより、その事務を処理する。

8 この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。

9 この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。

 一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法廷受託事務」という。)

 二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法廷受託事務」という。)

10 この法律又はこれに基づく政令に規定するもののほか、法律に定める法定受託事務は第一号法定受託事務にあっては別表第一の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に、第二号法廷受託事務にあっては別表第二の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりであり、政令に定める法定受託事務はこの法律に基づく政令に示すとおりである。

11 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。

12 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。この場合において、特別地方公共団体に関する法令の規定は、この法律に定める特別地方公共団体の特性も照応するように、これを解釈し、及び運用しなければならない。

13 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。

14 地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

15 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。

16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。

17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。

 第三章 条例及び規則

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。

2 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。

3 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁固、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又な五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

(関与の意義)

第二百四十五条 本章に於いて「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府、宮内庁、同法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下本章において同じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有の資格において当該行為の名あて人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。

 一 普通地方公共団体に対する次に掲げる行為

  イ 助言又は勧告

  ロ 資料の提出の要求

  ハ 是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであって、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)

  二 同意

  ホ 許可、認可又は承認

  へ 指示

  ト 代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠っているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わって行うことをいう。)

 二 普通地方公共団体との協議

 三 前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害を調整する目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)

(委員)

第二百五十条の九 委員は優れた見識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。

2 委員の任命については、その三人以上が同一の政党その他の政治団体に属することとなってはならない。

3 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、総務大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

4 前項の場合において、任命後最初の国会において両議院に事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の承認が得られないときは、総務大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

5 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、再任されることができる。

7 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

8 総務委員は、委員が破産手続開始の決定を受け、又は禁固以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。

9 総務大臣は、両議院の同意を得て、次に掲げる委員を罷免するものとする。

 一 委員のうち何人も属していなかった同一の政党その他の政治団体に新たに三人以上の委員が属するに至った場合においては、これらの者のうち二人を超える員数の委員

 二 委員のうち一人が既に属している政党その他の政治団体に新たに二人以上の委員が属するに至った場合においては、これらの者のうち一人を超える員数の委員

10 総務大臣は、委員のうち二人が既に属している政党その他の政治団体に新たに属するに至った委員を直ちに罷免するものとする。

11 総務大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。

12 委員は、第四項後段及び第八項から前項までの規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。

13 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

14 委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

15 常勤の委員は、在任中、総務大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

16 委員は、自己に直接利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。

17 委員の給与は、別に法律で定める。

(自治紛争処理委員)

第二百五十一条 自治紛争処理委員会は、この法律の定めるところにより、普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間の紛争の調停、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち都道府県の機関が行うもの(以下この節において「都道府県の関与」という。)に関する審査、第二百語十二条の二第一項に規定する連携協約に係る紛争を処理するための方策の提示及び第百四十三条第三項(第百八十条の五第八項及び第百八十四条第二項において準用するものを含む。)の審査請求又はこの法律の規定による審査の申立て若しくは審決の申請に係る審理を処理する。

2 自治紛争処理委員会は、三人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事がそれぞれ任命する。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する各大臣又は都道府県の委員会若しくは委員に協議するものとする。

3 自治紛争処理委員は、非常勤とする。

4 自治紛争処理委員は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職を失う。

 一 当事者が次条第二項の規定により調停の申請を取り下げたとき。

 二 自治紛争処理委員が次条第六項の規定いより当事者に調停を打ち切った旨を通知したとき。

 三 総務大臣又は都道府県知事が次条第七項第二百五十一条の三第十三項の規定により調停が成立した旨を当事者に通知したとき。

 四 市長村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の三第五項から第七項までにおいて準用する第二百五十条の十七の規定により自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出を取り下げたとき。

 五 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の四第一項若しくは第二項若しくは第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による審査の結果の通知若しくは勧告及び勧告の内容の通知又は第二百五十一条の三第七項おいて準用する第二百五十条の十四第四項の規定による審査の結果の通知をし、かつ、これらを公表したとき。

 六 普通地方公共団体が第二百五十一条の三の二第二項の規定により同条第一項の処理方策の提示を求める旨の申請を取り下げたとき。

 七 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三の二第三項の規定により当事者である普通地方公共団体に同条第一項に規定する処理方策を提示するとともに、総務大臣又は都道府県知事にその旨及び当該処理方策を通知し、かつ、公表したとき。

 八 第二百五十五条の五第一項の規定による審理に係る審査請求、審査の申立て又は審決の申請をした者が、当該審査請求、審査の申立て又は審決の申請を取り下げたとき。

 九 第二百五十五条の五第一項の規定による審理を経て、総務大臣又は都道府県知事が審査請求に対する裁決をし、審査の申立てに対する裁決若しくは裁定をし、又は審決をしたとき。

5 総務大臣または都道府県知事は、自治紛争処理委員が当該事件に直接利害関係を有することとなったときは、当該自治紛争処理委員を罷免しなければならない。

6 第二百五十条の九第二項、第八項、第九項(第二号を除く。)及び第十項から第十四項までの規定は、自治紛争処理委員に準用する。この場合において、同条第二項中「三人以上」とあるのは「二人以上」と、同条第八項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣又は都道府県知」と、同条第九項中「総務大臣は、両議院の同意を得て」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事は「」と、「三人以上」とあるのは「二人以上」と、「二人」となるのは「一人」と、同条第十項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事」と、「両議院の同意を得て、その委員を」とあるのは「その自治紛争処理委員を」と、同条第十二項中「第四項後段及び第八項から前項まで」とあるのは「第八項、第九項(第二号を除く。)、第十項及び前項並びに第二百五十一条第五項」と読み替えるものとする。

AI による概要
「審決(しんけつ)」とは、特許庁などの審判官(裁判官のような役割)が行う、審判手続きの最終的な判断のことで、審判の請求が認められるか、棄却されるかなどを決定する文書(審決書)で示されます。簡単に言えば「審判の結論」であり、特許・商標・意匠などの知的財産分野で使われ、不服があれば裁判所(知的財産高等裁判所など)に「審決取消訴訟」を起こすことができます。

問題24 地方自治法に基づく住民訴訟

5 〇
住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

・一部勝訴を含む(地方自治法242条の二第12項)

判例「原告の死亡と住民訴訟の終了」

「地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告の死亡により終了する。」

「地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告が死亡した場合においては、その訴訟を承継するに由なく、当然に終了するものと解すべきであるから(後略)」

(最判昭和55年2月22日)

判例「住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の不当利得返還請求権を放棄する旨の議会の議決の適法性及び当該放棄の有効性に関する判断基準」

「住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の不当利得返還請求権を放棄する旨の議会の議決がされた場合において,当該請求権の発生原因である公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響(その違法事由の性格や当該支出等を受けた者の帰責性等を含む。),当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有無及び経緯,事後の状況その他の諸般の事情を総合考慮して,これを放棄することが普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であってその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められるときは,その議決は違法となり,当該放棄は無効となる。」

(最判平成24年4月20日)

判例「地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう「相当と認められる額」の意義及び算定基準」

「地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう「相当と認められる額」とは,同条1項4号の規定による住民訴訟のために弁護士が行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものである。」

「この訴訟において住民が勝訴したときは,そこで求められた是正等の措置が本来普通地方公共団体の自ら行うべき事務であったことが明らかとなり,かつ,これにより普通地方公共団体が現実に経済的利益を受けることになるのであるから,住民がそのために費やした費用をすべて負担しなければならないとすることは,衡平の理念に照らし適当とはいい難い。」

(最判平成21年4月23日)

■ 行政事件訴訟法

(民衆訴訟)

第五条 この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。

■ 地方自治法

(住民監査請求)

第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

2 前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3 第一項の規定による請求があったときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。

4 第一項の規定による請求があった場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。

5 第一項の規定による請求があった場合には、監査委員は、監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。

6 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第一項の規定による請求があった日から六十日以内に行わなければならない。

7 監査委員は、第五項の規定による監査を行うに当たっては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。

8 監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。

9 第五項の規定による監査委員の勧告があったときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。

10 普通地方公共団体の議会は、第一項の規定による請求があった後に、当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

11 第四項の規定による勧告、第五項の規定による監査及び勧告並びに前項の規定による意見についての決定は、監査委員の合議によるものとする。

(住民訴訟)

第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条五項の規定による監査若しくは勧告を同条六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。

 一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求

 二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求

 三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求

 四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求

2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。

 一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から三十日以内

 二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があった日から三十日以内

 三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該六十日を経過した日から三十日以内

 四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内

3 前項の期間は、不変期間とする。

4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができない。

5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。

7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。

8 前項の訴訟告知があったときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。

9 民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。

10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。

11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。

12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

(是正の勧告)

第二百四十五条の六 次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

 一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する自治事務

 二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する自治事務

 三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する自治事務

問題25 情報公開

1 〇
条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施期間が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

判例「ひとたび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」

(最判平成11年11月19日)

判例「逗子市情報公開条例(平成2年逗子市条例第6号)5条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することの許否」

「公文書の非公開事由を定めた逗子市情報公開条例(平成2年逗子市条例第6号)5条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において、実施機関が、右決定が適法であることの根拠として、当該公文書が同条(2)アに該当すると主張することは、許される。」

「 一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はな
いとみるのが相当である。」

(最判平成11年11月19日)

判例「開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟における当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことの主張立証責任」

「開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う。」

「行政機関の長に対する開示請求は当該行政機関が保有する行政文書をその対象とするものとされ(3条),当該行政機関が当該行政文書を保有していることがその開示請求権の成立要件とされていることから(後略)」

(最判平成26年7月14日)

判例「愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号)に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出された場合における訴えの利益の消長」

「愛知県公文書公開条例(昭和61年愛知県条例第2号)に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において,当該公文書が書証として提出された場合であっても,上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。」

「公開請求権者は,本件条例に基づき公文書の公開を請求して,所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し,又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから(後略)」

(最判平成14年2月28日)

判例「情報公開条例に基づき開示請求がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において県の担当職員が当該公文書の記載内容の真否を調査せずに当該情報が同条例の定める非開示情報に当たると判断したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例」

「静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)に基づき開示請求がされた公文書に記載された情報が虚偽であった場合において,同条例には開示請求に係る公文書の記載内容の真否を調査すべき旨の定めはなく,かえって,公文書の開示の可否は原則として開示請求書を受理した日から15日以内に決定しなければならないと定められており,公文書の開示請求はその性質上多数の文書を一括してすることが予定されているなど判示の事情の下においては,静岡県の担当職員が上記開示請求に係る公文書に記載された内容の真否を調査せずにその記載内容に基づき当該情報が同条例9条8号の非開示情報に当たると判断したことは,職務上通常尽くすべき注意義務を怠ったものということはできず,国家賠償法上違法とはいえない。」

「条例に基づく公文書の非開示決定に取り消し得べき瑕疵があるとしても,そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記決定をしたと認め得るような事情がある場合に限り,上記評価を受けるものと解するのが相当である(後略)」

(最判平成18年4月20日)

■ 情報公開法

第三条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。

問題26 自動車の免許

1 〇
自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。

・実際の交付事務は、警視庁及び各道府県警察本部交通部に委任されている

問題27 制限行為能力者

1 〇
未成年について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。

2 〇
補佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。

3 〇
家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

5 〇
制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。

・追認擬制(原則)

制限行為能力者の相手方が、行為能力者(自分で決められる人)に対して催告権を行使した場合

・取消擬制(被保佐人と被補助人に対して催告権を行使した場合の例外)

制限行為能力者(自分で決められない人)に対して、催告権を行使した場合

判例「無能力者であることを黙秘することと民法20条にいう「詐術」」

「無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まつて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法20条にいう「詐術」にあたるが、黙秘することのみでは右詐術にあたらない。」

(最判昭和44年2月13日)

■ 民法

(制限行為能力者の相手方の催告権)

第二十条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。

3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。

 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。

 二 後見開始の審判があったとき。

問題28 占有改定等

ア 〇
即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来さない、占有改定による占有の取得は含まれない。

・判例「一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもっては足らない」(最判昭和35年2月11日)

イ 〇
留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

・債務者は第三者ではないため、債務者を占有代理人とした占有は含まれない

ウ ×
先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

・判例は、この引渡しには、占有改定を含むとしている(大判大正6年7月26日)

エ 〇
質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

■ 民法344条の「引き渡す」

・民法178条は、物権変動については意思主義

・民法344条は、意思主義の例外規定

・質権は、設定者から物を奪うことにより留置権効力を生ずるため、設定者の手元に質物を残す占有改定は、民法344条に規定する「引き渡す」の要件を満たさない

・民法344条の「引き渡す」に含まれるもの

→ 現実の引渡し及び簡易の引渡し

→ 指図による引渡し

物権変動における意思主義

AI による概要

物権変動における意思主義とは、当事者の意思表示(合意)のみで、登記や引渡しなどの形式を伴わずに物権の設定・移転の効力が生じるという考え方。民法176条が採用しており、売買契約が成立した時点で所有権が買主に移転する。

オ ×
動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

・動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない(民法178条)

・民法178条の引渡しには、現実の引渡しだけでなく、簡易の引渡し、指図による占有移転も含まれる

・判例は、占有改定も含まれるとしている(最判昭和30年6月2日)

■ 占有改定

代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

・占有改定でも許されるもの

〇 動産の引渡し(民法178条)

〇 先取特権と第三取得者(民法333条)

・占有改定では満たされないもの

× 即時取得

× 質権

× 留置権

判例「占有改定による占有の取得と民法第192条の適用の有無。」

「占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、民法第192条の適用はない。」

「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもつては足らないものといわなければならない(後略)」

(最判昭和35年2月11日)

判例「動産の売渡担保契約と債務者の所有権取得の対抗力の有無」

「債務者が動産を売渡担保に供し引きつづきこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもって第三者に対抗することができるものと解すべきである。」

(最判昭和30年6月2日)

■ 民法

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)

第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

(留置権の内容)

第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

(先取特権と第三取得者)

第三百三十三条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

(先取特権と動産質権との競合)

第三百三十四条 先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

(一般の先取特権の効力)

第三百三十五条 一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。

2 一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。

3 一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。

4 前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。

問題29 根抵当権

3 〇
元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。

■ 民法

(根抵当権の被担保債権の範囲)

第三百九十八条の三 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。

2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。

 一 債務者の支払の停止

 二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

(根抵当権の元本確定期日の定め)

第三百九十八条の六 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。

2 第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。

3 第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。

4 第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

(根抵当権の被担保債権の譲渡等)

第三百九十八条の七 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。

2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。

3 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。

4 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

問題30
 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。

2 ×
A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。

・選択債権における選択権は、相手方に対する意思表示によって行使し、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない(民法407条)

3 〇
A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。

・民法410条

■ 選択債権

・選択権は、債務者にあるのが原則

■ 民法

(選択債権における選択権の帰属)

第四百六条 債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。

(選択権の行使)

第四百七条 前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。

2 前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない。

(第三者の選択権)

第四百九条 第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。

2 前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

(不能による選択債権の特定)

第四百十条 債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。

問題31
 Aは、Bに対して金銭債務(以下「甲債務」という。)を負っていたが、甲債務をCが引き受ける場合(以下「本件債務引受」という。)

1 〇
本件債務引受について、BとCとの契約によって併存的債務引受とすることができる。

2 〇
本件債務引受について、AとCとの契約によって併存的債務引受とすることができ、この場合においては、BがCに対して承諾をした時に、その効力が生ずる。

3 〇
本件債務引受について、BとCとの契約によって免責的債務引受とすることができ、この場合においては、BがAに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。

4 〇
本件債務引受について、AとCが契約をし、BがCに対して承諾をすることによって、免責的債務引受とすることができる。

■ 併存的債務引受の契約当事者

①債権者と債務者と引受人よる三者契約

②債権者と引受人による場合

③債務者と引受人による場合

■ 民法

  第五節 債務の引受け

 第一款 併存的債務引受

(併存的債務引受の要件及び効果)

第四百七十条 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。

2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。

3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。

4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。

(免責的債務引受の要件及び効果)

第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する義務と同一の内容の債務を負担し、己の債務を免れる。

2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。

3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。

AI による概要
併存的債務引受(へいぞんてきさいむひきうけ)とは、元の債務者が債務から免れることなく、引受人が新たに同じ内容の債務を負担する形態で、結果として債務者と引受人が連帯債務者となることです(重畳的債務引受とも呼ばれます)。債権者にとっては請求できる人が増えるメリットがあり、引受人と債務者のいずれにも全額請求可能で、債務者と引受人が連帯して返済義務を負います。

AI による概要
免責的債務引受(めんせきてきさいむひきうけ)とは、債務者が本来負うべき借金などの債務を第三者が代わりに引き受け、元の債務者はその債務から完全に解放(免責)される契約です。債権者、債務者、引受人の間の合意(三者契約)または引受人と債権者の契約などで成立し、債務の内容はそのままに債務者だけが変更され、旧債務者は返済義務がなくなるのが特徴です(民法472条)。

問題32 同時履行の抗弁権

1 ×
双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。

・判例「売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の現状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。」(最判昭和47年9月7日)

5 〇
売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

・双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる(民法533条)

・判例「双務契約の当事者の一方は相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものでない」(最判昭和34年5月14日)

判例「売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務と同時履行」

「売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。」

「上告人、被上告人の右各義務は、民法533条の類推適用により同時履行の関係にあると解すべきであつて(後略)」

(最判昭和47年9月7日)

判例「造作買取請求権行使の場合における造作代金支払義務と家屋明渡義務との関係――留置権または同時履行抗弁権の成否」

「借家法第5条により造作の買収を請求した家屋の賃借人は、その代金の不払を理由として右家屋を留置し、または右代金の提供がないことを理由として同時履行の抗弁により右家屋の明渡を拒むことはできない。」

「造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権でない(後略)」

(最判昭和29年7月22日)

判例「履行の提供と同時履行の抗弁権の消滅。」

「双務契約の当事者の一方は、相手方の履行の提供があつても、その提供が継続されないかぎり、同時履行の抗弁権を失うものではない。」

(最判昭和34年5月14日)

■ 仕事完成義務と報酬支払義務

・仕事完成義務と報酬支払義務は、同時履行の関係ではない(s事完成が先履行)

・注文者の報酬支払義務と、請負人の目的物引渡義務は、原則として同時履行

■ 民法

(同時履行の抗弁)

第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

(使用貸借の規定の準用)

第六百二十二条 第五百九十七条第一項、第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百条の規定は、賃貸借について準用する。

(雇用)

第六百二十三条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)

第六百二十四条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。

(請負)

第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)

第六百三十三条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

問題33
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。

1 〇
本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。

・民法605条の2

2 ×
乙の建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

・判例「土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもって対抗することができない」(最判昭和47年6月22日)

3 〇
Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

4 〇
本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

5 〇
本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合にいおいて、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

判例「土地の賃借人が借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有する場合と建物保護に関する法律1条の対抗力」

「土地の賃借人は、借地上に妻名義で保存登記を経由した建物を所有していても、その後その土地の所有権を取得した第三者に対し、建物保護に関する法律1条により、その土地の賃借権をもつて対抗することができない。」

「右法条により土地の賃借人がその賃借権を第三者に対抗しうるためには、その賃借人が借地上に自己の名義で所有権保存登記等を経由した建物を所有していることが必要であつて(後略)」

(最判昭和47年6月22日)

■ 借地借家法

(借地権の対抗力)

第十条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

(建物賃貸借の対抗力)

第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

■ 民法

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

(賃借人による費用の償還請求)

第六百八条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(占有者による費用の償還請求)

第百九十六条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。

2 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増加額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

問題34 医療契約に基づく医師の患者に対する義務

2 〇
医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。

判例「医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務」

「医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。」

「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから(後略)」

「臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが、医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。」

(最判平成8年1月23日)

判例「乳がんの手術に当たり当時医療水準として未確立であった乳房温存療法について医師の知る範囲で説明すべき診療契約上の義務があるとされた事例」

「乳がんの手術に当たり,当時医療水準として確立していた胸筋温存乳房切除術を採用した医師が,未確立であった乳房温存療法を実施している医療機関も少なくなく,相当数の実施例があって,乳房温存療法を実施した医師の間では積極的な評価もされていること,当該患者の乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び当該患者が乳房温存療法の自己への適応の有無,実施可能性について強い関心を有することを知っていたなど判示の事実関係の下においては,当該医師には,当該患者に対し,その乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在をその知る範囲で説明すべき診療契約上の義務がある。」

(最判平成13年11月27日)

判例「医薬品添付文書に過敏症状と皮膚粘膜眼症候群の副作用がある旨記載された薬剤等を継続的に投与中の患者に副作用と疑われる発しん等の過敏症状の発生を認めた医師に上記薬剤の投与についての過失がないとした原判決に違法があるとされた事例」

「医薬品添付文書に過敏症状と皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)の副作用がある旨記載された薬剤等を継続的に投与されている患者に副作用と疑われる発しん等の過敏症状の発生が認められたことなど判示の事実関係の下においては,当時の医療上の知見において過敏症状が同症候群へ移行することを予測し得たものとすれば,医師は,同症候群の発症を予見し回避の措置を講ずべき義務を負っていたものであり,同症候群の症状自体が出現していなかったことなどから直ちに医師の過失を否定した原判決には,上記薬剤の投与についての医師の過失に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。」

「精神科医は,向精神薬を治療に用いる場合において,その使用する向精神薬の副作用については,常にこれを念頭において治療に当たるべきであり,向精神薬の副作用についての医療上の知見については,その最新の添付文書を確認し,必要に応じて文献を参照するなど,当該医師の置かれた状況の下で可能な限りの最新情報を収集する義務がある(後略)」

(最判平成14年11月8日)

実験上必要とされる最善の注意義務

AI による概要

実験上必要とされる最善の注意義務(じっけんじょうひつようとされるさいぜんのちゅういぎむ)とは、医療従事者が生命・健康を守る業務において、危険防止のために診療当時の医療水準に基づき求められる最高レベルの注意義務。この基準は、平均的な医療慣行ではなく、その時の臨床医学の知見や施設ごとの性格・環境を考慮して判断される。

問題35 特別養子縁組制度

イ 〇
特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。

エ 〇
特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。

■ 民法

(特別養子縁組の成立)

第八百十七条の二 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。

2 前項に規定する請求をするには、第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。

(養親の夫婦共同縁組)

第八百十七条の三 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。

2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

(養親となる者の年齢)

第八百十七条の四 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。

(実方との親族関係の終了)

第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

問題36 運送品が高価品である場合における運送人の責任に関する特則

ア ×
商法にいう「高価品」とは、単に高価な物品を意味するのではなく、運送人が荷送人から収受する運送賃に照らして、著しく高価なものをいう。

・判例「「高価品」とは、容積または重量の割に著しく高価な物品」をいい、一見して高価なものはここでいう高価品にあたらない

イ 〇
運送費が高価品であるときは、荷送人が運送を委託するにあたりその種類および価額を通知した場合を除き、運送人は運送品に関する損害賠償責任を負わない。

ウ 〇
荷送人が種類および価額の通知をしないときであっても、運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたときは、運送人は免責されない。

エ ×
運送人の故意によって高価品に損害が生じた場合には運送人は免責されないが、運送人の重大な過失によって高価品に損害が生じたときは免責される。

・重過失の場合も免責されない

オ 〇
高価品について運送人が免責されるときは、運送人の不法行為による損害賠償責任も同様に免除される。

■ 商法

(高価品の特則)

第五百七十七条 貨幣、有価証券その他の高価品については、荷送人が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負わない。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

 一 物品運送契約の締結の当時、運送品が高価品であることを運送人が知っていたとき。

 二 運送人の故意又は重大な過失によって高価品の滅失、損傷又は延着が生じたとき。

(運送人の不法行為責任)

第五百八十七条 第五百七十六条、第五百七十七条、第五百八十四条及び第五百八十五条の規定は、運送品の滅失等についての運送人の荷送人又は荷受人に対する不法行為による損害賠償の責任について準用する。ただし、荷受人があらかじめ荷送人の委託による運送を拒んでいたにもかかわらず荷送人から運送を引き受けた運送人の荷受人に対する責任については、この限りでない。

問題37 株式会社の設立

ア 〇
発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。

・会社法25条第2項

・設立時株式を一株も引き受けていない発起人がいると、会社の設立無効事由となる

ウ 〇
現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。

オ ×
発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

・募集設立の場合、発起人は、払込みの取扱いをした銀行等に対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる(会社法64条)

・払込金保管証明書の制度が適用されるのは、発起設立ではなく募集設立

・募集設立においては、発起人以外の引受人がいるため、当該引受人を保護するために、払込金保管証明の制度がある

■ 設立が無効となる例

・定款の絶対的記載事項が欠けている

・設立時株式を一株も引き受けていない発起人がいる

・公証人による定款認証がない

・定款で定める出資がなされていない

・募集設立での創立総会が適法に開催されていない

・株式発行事項につき、発起人全員の同意がない

・設立登記が無資格者の申請に基づくなどの理由である場合

■ 現物出資等で検査役の調査を必要としないケース

①現物出資・財産引受の定款記載価額の総額が500万円を超えない場合。

②市場価格のある有価証券で、定款記載の価額がその市場価格を超えない場合。

③弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けている場合。(不動産については不動産鑑定士)

・会社法33条第10項

■ 会社法

第二十五条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。

 一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法

 二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法

2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)

第三十三条 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。

2 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。

3 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。

4 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。

5 裁判所は、前項の報告について、その内容を明瞭にし、又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは、第二項の検査役に対し、更に前項の報告を求めることができる。

6 第二項の検査役は、第四項の報告をしたときは、発起人に対し、同項の書面の写しを交付し、又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。

7 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。

8 発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。

9 前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。

10 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。

 一 第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合 同条第一号及び第二号に掲げる事項

 二 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいい、同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項

 三 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)

11 次に掲げる者は、前項第三号に規定する証明をすることができない。

 一 発起人

 二 第二十八条第二号の財産の譲渡人

 三 設立時取締役(第三十八条第一項に規定する設立時取締役をいう。)又は設立時監査役(同条第三項第二号に規定する設立時監査役をいう。)

 四 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者

 五 弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、監査法人又は税理士法人であって、その社員の半数以上が第一号から第三号までに掲げる者のいずれかに該当するもの

(株式会社不成立の場合の責任)

第五十六条 株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

(払込金の保管証明)

第六十四条 第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

2 前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第三十四条第一項若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。

問題38 株式会社が自己の発行する株式を取得する場合

1 〇
株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式会社について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。

2 〇
株式会社は、その発行する全部たまは一部の株式の内容として、当該株式について、当該株式が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定めることができる。

3 〇
株式会社が他の株式会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができる。

4 〇
取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。

■ 株式の全部又は一部に定めることができる共通事項

・譲渡制限の定め

株式を譲渡により取得する場合に、会社の承認を要するものとする定め

・取得請求の定め

会社に対して株式を取得するよう、株主から請求することのできるものとする定め

・取得条項の定め

一定の条件が発生すると、会社が株主から株式を取得するものとする定め

■ 会社法

  第四節 株式会社による自己の株式の取得

 第一款 総則

第百五十五条 株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる。

 一 第百七条第二項第三号イの事由が生じた場合

 二 第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求があった場合

 三 次条第一項の決議があった場合

 四 第百六十六条第一項の規定による請求があった場合

 五 第百七十一条第一項の決議があった場合

 六 第百七十六条第一項の規定による請求をした場合

 七 第百九十二条第一項の規定による請求があった場合

 八 第百九十七条第三項各号に掲げる事項を定めた場合

 九 第二百三十四条第四項各号(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を定めた場合

 十 他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する場合

 十一 合併後消滅する会社から当該株式会社の株式を承継する場合

 十二 吸収分割をする会社から当該株式会社の株式を承継する場合

 十三 前各号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合

 第三目 市場取引等による株式の取得

第百六十五条 第百五十七条から第百六十条までの規定は、株式会社が市場において行う取引又は金融商品取引法第二十七条の二第六項に規定する公開買付けの方法(以下この条において「市場取引等」という。)により当該株式会社の株式を取得する場合には、適用しない。

2 取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。

3 前項の規定による定款の定めを設けた場合における第百五十六条第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第百六十五条第一項に規定する場合にあっては、株主総会又は取締役会)」とする。

 第六節 剰余金の配当等に関する責任

(配当等の制限)

第四百六十一条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。

  一 第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求に応じて行う当該株式会社の株式の買取り

  二 第百五十六条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得(第百六十三条に規定する場合又は第百六十五条第一項に規定する場合における当該株式会社による株式の取得に限る。)

  三 第百五十七条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得

  四 第百七十三条第一項の規定による当該株式会社の株式の取得

  五 第百七十六条第一項の規定による請求に基づく当該株式会社の株式の買取り

  六 第百九十七条第三項の規定による当該株式会社の株式の買取り

  七 第二百三十四条第四項(第二百三十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による当該株式会社の株式の買取り

  八 剰余金の配当

2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下この節において同じ。)。

 一 剰余金の額

 二 臨時計算書類につき第四百四十一条第四項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第三項の承認)を受けた場合における次に掲げる額

  イ 第四百四十一条第一項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

  ロ 第四百四十一条第一項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額

 三 自己株式の帳簿価額

 四 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額

 五 第二号に規定する場合における第四百四十一条第一項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

 六 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

問題39 株主総会

1 〇
株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。

2 〇
株式会社は、基準日が株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。

3 〇
株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。

5 〇
株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

■ 会社法

(基準日)

第百二十四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。

2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。

3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。

4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。

5 第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。

(議決権の代理行使)

第三百十条 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。

2 前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。

3 第一項の株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。

4 株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。

5 株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる。

6 株式会社は、株主総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面及び第三項の電磁的方法により提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

7 株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第四項及び第三百十二条第五項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 一 代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求

 二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

8 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。

 一 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

 二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

 三 請求者が代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第二号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

 四 請求者が、過去二年以内において、代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第二号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

問題40 公開会社であり、かつ大会社に関する会社法の規定

1 ×
譲渡制限株式を発行することができない

2 〇
発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えることはできない。

3 〇
株主総会の招集は書面で行わなければならない。

4 〇
会計監査人を選任しなければならない。

5 〇
取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。

■ 会社法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。

 二 外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。

 三 子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

 三の二 子会社等 次のいずれかに該当する者をいう。

  イ 子会社

  ロ 会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの

 四 親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

 四の二 親会社等 次のいずれかに該当する者をいう。

  イ 親会社

  ロ 株式会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの

 五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

 六 大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。

  イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。

  ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。

 七 取締役会設置会社 取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。

 八 会計参与設置会社 会計参与を置く株式会社をいう。

 九 監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。

 十 監査役会設置会社 監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。

 十一 会計監査人設置会社 会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。

 十一の二 監査等委員会設置会社 監査等委員会を置く株式会社をいう。

 十二 指名委員会等設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいう。

 十三 種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。

 十四 種類株主総会 種類株主(種類株式発行会社におけるある種類の株式の株主をいう。以下同じ。)の総会をいう。

 十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。

 イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

  ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

  ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。

  ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

  ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

 十六 社外監査役 株式会社の監査役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。

  イ その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。ロにおいて同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。

  ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。

  ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。

  ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

  ホ 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

 十七 譲渡制限株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

 十八 取得請求権付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

 十九 取得条項付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

 二十 単元株式数 株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。

 二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。

 二十二 新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう。

 二十三 社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。

 二十四 最終事業年度 各事業年度に係る第四百三十五条第二項に規定する計算書類につき第四百三十八条第二項の承認(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。

 二十五 配当財産 株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。

 二十六 組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。

  イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社

  ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社

 二十七 吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。

 二十八 新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。

 二十九 吸収分割 株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。

 三十 新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。

 三十一 株式交換 株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。

 三十二 株式移転 一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。

 三十二の二 株式交付 株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第七百七十四条の三第二項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう。

 三十三 公告方法 会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。

 三十四 電子公告 公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。

(発行可能株式総数の定め等)

第三十七条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。

3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

(株主総会の招集の通知)

第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。

 一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合

 二 株式会社が取締役会設置会社である場合

3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。

4 前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

(大会社における監査役会等の設置義務)

第三百二十八条 大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。

2 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。

問題41
 このような労働組合の結成を憲法および労働組合法で保障しているのは、社会的・経済的弱者である個々の労働者をして、その強者である〔 ア 〕との交渉において、対等の立場に立たせることにより、労働者の地位を向上させることを目的とするものであることは、さきに説示したとおりである。しかし、現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて、労働者がその経済的地位の向上を図るにあたっては、単に〔 ア 〕との交渉においてのみこれを求めても、十分にはその目的を達成することができず、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な〔 イ 〕や社会活動を行なうことを妨げられるものではない。
 この見地からいって、本件のような地方議会議員の選挙にあたり、労働組合が、その組合員の居住地域の生活環境の改善その他生活向上を図るうえに役立たたしめるため、その〔 ウ 〕を議会に送り込むための選挙活動をすること、そして、その一方策として、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することは、組合の活動として許されないわけではなく、また、統一候補以外の組合員であえて立候補しようとするものに対し、組合の所期の目的を達成するため、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することも、それが単に勧告または説得にとどまるかぎり、組合の組合員に対する妥当な〔 エ 〕権の行使にほかならず、別段、法の禁ずるところとはいえない。しかし、このことから直ちに、組合の勧告または説得に応じないで個人的に立候補した組合員に対して、組合の〔 エ 〕をみだしたものとして、何らかの処分をすることができるかどうかは別個の問題である。(最大判昭和43年12月4日刑集22巻13号1425頁)

〔 ア 〕〇使用者

〔 イ 〕〇政治活動

〔 ウ 〕〇利益代表

〔 エ 〕〇統制 ×自立

かんこく

【勧告】

《名・ス他》
当事者に、こういう処置をしたほうが良いと(多少とも)公的なしかたで告げ(説い)て勧めること。その内容。
 「和解を―する」

反目

AI による概要

反目(はんもく)とは、互いに憎しみ合い、にらみ合って仲が悪い状態や、対立している様子を指します。主にグループ間の対立や、人間関係の不和を表現する際に用いられます。読み方は「はんもく」ですが、刑事弁護の現場など一部では「ハンメ」と呼ばれることもあります。

問題42
 行政指導とは、相手方の任意ないし合意を前提として行政目的を達成しようとする行政活動の一形式である。
 行政手続法は、行政指導につき、「行政機関がその任務又は〔 ア 〕の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、〔 イ 〕、助言その他の行為であって処分に該当しないもの」と定義し、行政指導に関する幾つかの条文を規定している。例えば、行政手続法は、行政指導に〔 ウ 〕につき、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」と定義し、これが、〔 エ 〕手続の対象となることを定める規定がある。
 行政指導は、一般的には、法的効果をもたないものとして処分性は認められず抗告訴訟の対象とすることはできないと解されているが、行政指導と位置づけられている行政活動に、処分性を認める最高裁判決も出現しており、医療法にもとづく〔 イ 〕について処分性を認めた最高裁判決(最二判平成17年7月15日民集59巻6号1661頁)が注目されている。

〔 ア 〕所掌事務

〔 イ 〕勧告

〔 ウ 〕指針

〔 エ 〕意見公募

■ 行政手続法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

 二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

 三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

 四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

  イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分

  ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分

  ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分

  ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

 五 行政機関 次に掲げる機関をいう。

  イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、会計検査院若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員

  ロ 地方公共団体の機関(議会を除く。)

 六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

 七 届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。

 八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。

  イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則

  ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

(意見公募手続)

第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

2 前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。

3 第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。

4 次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。

 一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。

 二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。

 三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。

 四 法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条若しくは国家行政組織法第八条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。

 五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。

 六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。

 七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。

 八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。

問題43
 次の文章は、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等が違法であるとして、当該懲罰を受けた議員が提起した国家賠償請求訴訟に関する最高裁判所の判決の一節である(一部修正してある)

 本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、〔 ア 〕の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう〔 イ 〕に当たり、適法というべきである。
 もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法1条1項の適用上違法であることを前提とするものである。
 普通地方公共団体の議会は、憲法の定める〔 ウ 〕に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、〔 エ 〕の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置が〔 ア 〕を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。
 したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の〔 ア 〕を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置が〔 エ 〕の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。(最一小判平成31年2月14日民集73巻2号123頁)

〔 ア 〕私法上の権利利益

〔 イ 〕法律上の争訟

〔 ウ 〕地方自治の本旨

〔 エ 〕議会の内部規律

判例「普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否の判断方法」

「普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員の私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては,当該措置が議会の内部規律の問題にとどまる限り,議会の自律的な判断を尊重し,これを前提として請求の当否を判断すべきである。」

「普通地方公共団体の議会は,地方自治の本旨に基づき自律的な法規範を有するものであり,議会の議員に対する懲罰その他の措置については,議会の内部規律の問題にとどまる限り,その自律的な判断に委ねるのが適当である(後略)」

「本件は,被上告人が,議会運営委員会が本件措置をし,市議会議長がこれを公表したこと(本件措置等)によって,その名誉を毀損され,精神的損害を被ったとして,上告人に対し,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めるものである。これは,私法上の権利利益の侵害を理由とする国家賠償請求であり,その性質上,法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから,本件訴えは,裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たり,適法というべきである。」

(最判平成31年2月14日)

■ 裁判所法

第三条(裁判所の権限) 裁判所は、日本国憲法に特別の定めのある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

2 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。

3 この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

■ 日本国憲法

第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

問題44 記述式
 A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。
 Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。
 この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

正解例

本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効の確認を求める訴えを提起する。(40字)

Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)

・認可処分に対する訴え→A県を被告

・換地処分に対する訴え→当該組合を被告(国又は公共団体に所属しない行政庁」

■ 行政事件訴訟法

(被告適格等)

第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があった後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。

 一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体

 二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体

2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。

3 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。

4 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例による記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ各号に定める行政庁を記載するものとする。

 一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
 二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁

5 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。

6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。

(取消訴訟に関する規定の準用)

第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

2 第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。

3 第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。

4 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。

問題45 記述式
 Aは、Bとの間で、A所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結したが、Aが本件契約を締結するに至ったのは、平素からAに恨みをもっているCが、Aに対し、甲土地の地中には戦時中に軍隊によって爆弾が埋められており、いつ爆発するかわからないといった嘘の事実を述べたことによる。Aは、その爆弾が埋められている事実をBに伝えた上で、甲土地を時価の2分の1程度でBに売却した。売買から1年後に、Cに騙されたことを知ったAは、本件契約に係る意思表示を取り消すことができるか。なお、記述にあたっては、「本件契約に係るAの意思表示」を「契約」と表記すること。

正解例

Bが詐欺の事実を知り又は知ることができたときに限り、Aは、契約を取り消すことができる。(43字)

Aは、BがCの詐欺を知り、または知ることができたときに限り、契約を取り消すことができる。(44字)

■ 民法

(詐欺又は強迫)

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

問題46 以下の[設例]および[判例の解説]を読んで記述せよ。

[設例]
 A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨の情を晴らすためAをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。

[判例の解説]
 上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。

 上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権理者でない理由を、40字程度で記述しなさい。

正解例

信義則上登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者であって、AC間の売買は有効であるから。(45字)

信義則上、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないが、AC間の売買自体は無効でないため。(44字)

登記の欠缺を主張することが信義則に反し許されないが、AC間の売買自体は有効であるから。(43字)

判例「背信的悪意者からの転得者と民法177条の第三者」

「所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる。」

「丙が背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、乙は、丙が登記を経由した権利を乙に対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得を丙に対抗することができるというにとどまり、甲丙間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、丁は無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならないのであって、また、(二) 背信的悪意者が正当な利益を有する第三者に当たらないとして民法177条の「第三者」から排除される所以は、第一譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第一譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第一譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである。」

(最判平成8年10月29日)

■ 民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律に定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

問題47 普通選挙

3 〇
日本では、第一次世界大戦後に男子普通選挙となったが、男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後である。

・1925年(大正14年)衆議院議員選挙法改正により、満25歳以上のすべての男子が選挙権を有することとなった

・1945年(昭和20年)衆議院議員選挙法改正により、女性の参政権を認め、満20歳以上のすべての国民が選挙権を有する「完全な普通選挙」が実現

5 ×
イギリスでは、三次にわたる選挙法改正が行われ、19世紀末には男女普通選挙が実現していた。

・イギリスでは、第一次世界大戦末期の1918年、第4回選挙法改正時に、21歳以上の男子と30歳以上の女性に選挙権が認められた

・1928年の第5回選挙法改正で、21歳以上の男女の「完全な普通選挙」が実現した

・アメリカでは、第一次世界大戦後の1920年に、女性の参政権を認めるアメリカ合衆国憲法修正第19条が成立した

・ドイツの帝政時代は、帝国議会と連邦参議院による二院制だった

・ドイツの帝国議会では、男子普通選挙が行われていた

・ドイツ革命により1918年11月9日にドイツ帝国が崩壊し、のちにワイマール共和国の首相に就任するフィリップ・シャイデマンが共和国誕生を宣言し、その3日後に男女普通選挙権の導入が決定された

・スイスでは、連邦では1971年に、全土では1991年に女性参政権が認められた

問題48 フランス人権宣言

2 〇
人権の不知、忘却または蔑視が、公共の不幸と政府の腐敗の原因に他ならないとされている。

・フランス人権宣言は、人間の自由と平等、人民主権、言論の自由、三権分立、所有権の神聖など17条からなるフランス革命の基本原則を記し、個人の権利としての人権を宣言したもの

・1789年にフランスのラファイエットにより起草された

・前文に「国民議会として構成されたフランス人民の代表者たちは、人の権利に対する無知、忘却、または軽視が、公の不幸と政府の腐敗の唯一の原因である」としている

・フランス人権宣言6条は「すべての市民は、法律の前に平等であるから、その能力にしたがって、かつ、その徳行と才能以外の差別なしに、等しく、すべての位階、地位および公職に就くことができる。」としている

・フランス人権宣言3条は「すべての主権の淵源は、本質的に国民になる。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。」としている

・フランス人権宣言16条は「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない。」としている

・フランス人権宣言12条は「人および市民の権利の保障は、公の武力を必要とする。この武力は、すべての者の利益のために設けられるのであり、それが委託される者の特定の利益のために設けられるのではない。」としている

位階

AI による概要

位階(いかい)は、古代中国の律令制に由来し、日本では聖徳太子の冠位十二階から続く約1400年の歴史を持つ、国家に基づく個人の序列・身分制度です。正一位〜従八位の16階に分けられ、現在は故人への追悼や功労の称賛として、死亡時に「位記」が授与される制度(叙位)として運用されています。

淵源(えんげん)

AI による概要

「淵源(えんげん)」は、物事の根底や始まり、源(みなもと)を意味する言葉です。奥深い場所を指す「淵」と水の始まりである「源」を組み合わせ、物事の「由来」や「根源」を指します。歴史、文化、制度のルーツを示す際に使われる硬い表現です。

問題49 日本のバブル経済とその崩壊

 1985年のプラザ合意の後に〔 ア 〕が急速に進むと、〔 イ 〕に依存した日本経済は大kな打撃を受けた。〔 ア 〕の影響を回避するために、多くの工場が海外に移され、産業の空洞化に対する懸念が生じた。
 G7諸国の合意によって、為替相場が安定を取り戻した1987年半ばから景気は好転し、日本経済は1990年代初頭まで、平成景気と呼ばれる好景気を持続させた。
 〔 ウ 〕の下で調達された資金は、新製品開発や合理化のための投資に充てられる一方で、株式や土地の購入にも向けられ、株価や地価が経済の実態をはるかに超えて上昇した。こうした資産効果を通じて消費熱があおられ、高級品が飛ぶように売れるとともに、さらなる投資を誘発することとなった。
 その後、日本銀行が〔 エ 〕に転じ、また〔 オ 〕が導入された。そして、株価や地価は低落し始め、バブル経済は崩壊、平成不況に突入することとなった。

〔 ア 〕円高

〔 イ 〕輸出

〔 ウ 〕低金利政策

〔 エ 〕金融引き締め

〔 オ 〕地価税

・地価税

1991年、土地投機取引による異常な地価高騰を抑制する目的で地価税が導入された。

バブル崩壊後、日本の土地に対する需要は低迷しており、地下の急激な上昇はないとの見込みから、1998年より当分の間課税されないこととなった。

AI による概要
日本の地価税は、現在、課税が停止されている国税です。バブル経済期の地価高騰を背景に1991年に創設されましたが、地価の下落に伴い1998年度の税制改正で課税が停止されました。

問題50 日本の国債制度とその運用

エ 〇
東日本大震災からの復旧・復興事業に必要な財源を調達する目的で、2011年度から、復興債が発行された。

オ 〇
増大する社会保障給付費等を賄う必要があることから、2014年度の消費税率の引き上げ後も、毎年度の新規国債発行額は30兆円を超えている。

建設国債

AI による概要

建設国債は、道路や橋、港湾などの公共事業費(資産形成につながる経費)の財源として、財務省の財政法第4条第1項に基づき発行される普通国債です。将来の世代も恩恵を受ける事業の費用を負担するという考え方のもと、原則として赤字補填用(特例国債)とは区別され、国会の議決を経て発行されます。

特例国債

AI による概要

特例国債(赤字国債)は、税収で歳出を賄えない場合に、特例公債法に基づき発行される国の借金です。公共事業に充てる「建設国債」とは異なり、社会保障などの一般経費の穴埋めに使われます。94年度以降は毎年発行されており、2025年度の赤字国債発行額は約21.9兆円、普通国債残高は1000兆円を超える見通しです。

復興債

AI による概要

復興債(ふっこうさい)は、東日本大震災の復旧・復興事業の財源を確保するため、2011年度から政府が発行している国債(復興財源確保法に基づく)です。震災から約25年間(2037年度まで)の復興特別税(所得税への上乗せ等)や政府保有株式の売却益を償還財源として返済されます。

■ 財政法

第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

2 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。

3 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

問題51 日本の子ども・子育て政策

イ 〇
児童扶養手当とは、母子世帯・父子世帯を問わず、ひとり親家庭などにおける生活の安定と自立の促進に寄与し、子どもの福祉の増進を図ることを目的として給付を行う制度である。

ウ 〇
就学援助とは、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、市町村が学用品費や学校給食費などの必要な援助を与える制度であり、生活保護世帯以外も対象となるが、支援の基準や対象は市町村により異なっている。

■ 児童扶養手当法

(この法律の目的)

第1条 この法律は、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もって児童の福祉の増進を図ることを目的とする。

■ 学校教育法

第十九条 経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。

問題52 新しい消費の形態

イ 〇
シェアリングエコノミーと呼ばれる、服や車など個人資産を相互利用する消費形態が広がりつつある。

ウ 〇
戸建て住宅やマンションの部屋を旅行者等に提供する宿泊サービスを民泊と呼び、ホテルや旅館よりも安く泊まることや、現地の生活体験をすることを目的に利用する人もいる。

ギグエコノミー

AI による概要

ギグエコノミーとは、企業に所属せず、インターネットのプラットフォームを通じて単発・短期の仕事(ギグ)を請け負う働き方や、それによって成り立つ経済圏のこと。プログラミング、デザイン、配達、家事代行など、専門スキルから簡単な業務まで幅広く、ギグワーカーは時間や場所の柔軟性を得られる一方で、収入の不安定さや社会保障がないといった課題も抱えている。

・民泊を行う場合の選択肢

①旅館業法(昭和23年法律第138号)の許可

②国家戦略特区法(平成25年法律第107号)(特区民泊)の認定

③住宅宿泊事業の届出

問題53 現在の日本における地域再生、地域活性化なの政策や事業

ア 〇
まち・ひと・しごと創生基本方針は、地方への新しい人の流れをつくるとともに、地方に仕事をつくり、人々が安心して働けるようにすることなどを目的としている。

イ 〇
高齢化、過疎化が進む中山間地域や離島の一部では、アート(芸術)のイベントの開催など、アートを活用した地域再生の取組みが行われている。

エ 〇
シャッター街の増加など中心市街地の商店街の衰退が進むなかで、商店街の一部では空き店舗を活用して新たな起業の拠点とする取組みが行われている。

問題54 日本の人口動態

イ 〇
婚姻については平均初婚年齢が上昇してきたが、ここ10年では男女共30歳前後で変わらない。

エ 〇
出生数と死亡数の差である自然増減数を見ると、ここ10年では自然減の程度が拡大している。

・日本の人口動態統計(令和元年)の主な死因別の死亡率

 悪性新生物(がん・腫瘍)27.3%

 心疾患 15.0%

 老衰 8.8%

 脳血管疾患 7.7%

 肺炎 6.9%

・2007年以降は死亡率が出生率を上回る自然減の状態

問題55 インターネット通信で用いられる略称

イ 〇
SMTPとは、Simple Mail Transger Protocol の略称。電子メールを送信するための通信プロトコル。

エ 〇
HTTPとは、Hyper Transfer Protocol の略称。Web上でホストサーバーとクライアント間で情報を送受信することを可能にする通信プロトコル。

『総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト』
用語集
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/glossary/

問題56 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

2 〇
行政機関の長は、開示することにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報は、開示する必要はない。

■ 個人情報の保護に関する法律

(保有個人情報の開示義務)

第七十八条 行政機関の長等は、開示請求があったときは、開示請求に係る保有個人情報に次の各号に掲げる情報(以下この節において「不開示情報」という。)のいずれかが含まれている場合を除き、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示しなければならない。

 一 開示請求者(第七十六条第二項の規定により代理人が本人に代わって開示請求をする場合にあっては、当該本人をいう。次号及び第三号、次条第二項並びに第八十六条第一項において同じ。)の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報

 二 開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

  イ 法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報

  ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報

  ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第二条第四項に規定する行政執行法人の職員を除く。)、独立行政法人等の職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員及び地方独立行政法人の職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

 三 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。

  イ 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

  ロ 行政機関等の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

 四 行政機関の長が第八十二条各項の決定(以下この節において「開示決定等」という。)をする場合において、開示することにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると当該行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

 五 行政機関の長又は地方公共団体の機関(都道府県の機関に限る。)が開示決定等をする場合において、開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると当該行政機関の長又は地方公共団体の機関が認めることにつき相当の理由がある情報

 六 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

 七 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

  イ 独立行政法人等、地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が開示決定等をする場合において、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ

  ロ 独立行政法人等、地方公共団体の機関(都道府県の機関を除く。)又は地方独立行政法人が開示決定等をする場合において、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ

  ハ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

  ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

  ホ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

  ヘ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

  ト 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

2 地方公共団体の機関又は地方独立行政法人についての前項の規定の適用については、同項中「掲げる情報(」とあるのは、「掲げる情報(情報公開条例の規定により開示することとされている情報として条例で定めるものを除く。)又は行政機関情報公開法第五条に規定する不開示情報に準ずる情報であって情報公開条例において開示しないこととされているもののうち当該情報公開条例との整合性を確保するために不開示とする必要があるものとして条例で定めるもの(」とする。

問題57 個人情報の保護に関する法律

5 〇
個人情報取扱事業者は、個人情報の取得にあたって通知し、又は公表した利用目的を変更した場合は、変更した利用目的について、個人情報によって識別される特定の個人である本人に通知し、又は公表しなければならない。

■ 個人情報の保護に関する法律

(利用目的による制限)

第十八条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。

3 前二項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

 一 法令(条例含む。以下この章において同じ。)に基づく場合

 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人情報を学術研究の用に供する目的(以下この章において「学術研究目的」という。)で取り扱う必要があるとき(当該個人情報を取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。

 六 学術研究機関等に個人データを提供する場合であって、当該学術研究機関等が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。

(取得に際しての利用目的の通知等)

第二十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書にその他の書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急の必要がある場合は、この限りでない。

3 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。

4 前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。

 一 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

 二 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合。

 三 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合

(委託先の監督)

第二十五条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(第三者提供の制限)

第二十七条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

 一 法令に基づく場合

 二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データの提供が学術研究の成果の公表又は教授のためやむを得ないとき(個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)

 六 当該個人情報取扱事業者が学術機関等である場合であて、当該個人データを学術研究目的で提供する必要があるとき(当該個人データを提供する目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)

 七 当該第三者が学術研究機関等である場合であって、当該第三者が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)

2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。ただし、第三者に提供される個人データが用配慮個人情報又は第二十条第一項の規定に違反して取得されたもの若しくは他の個人情報取扱事業者からこの項本文の規定により提供されたもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)である場合は、この限りでない。

 一 第三者へ提供を行う個人情報取扱事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人であっては、その代表者(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものにあっては、その代表者又は管理人。以下この条、第三十条第一項第一号及び第三十二条第一項第一号において同じ。)の氏名

 二 第三者への提供を利用目的とすること。

 三 第三者に提供される個人データの項目

 四 第三者に提供される個人データの取得の方法

 五 第三者への提供の方法

 六 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。

 七 本人の求めを受け付ける方法

 八 その他個人の権利利益を保護するために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める事項

3 個人情報取扱事業者は、前項第一号に掲げる事項に変更があったとき又は同項の規定による個人データの提供をやめたときは遅滞なく、同項第三条から第五号まで、第七号又は第八号に掲げる事項を変更しようとするときはあらかじめ、その旨について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出なければならない。

4 個人情報保護委員会は、第二項の規定による届出があったときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該届出に係る事項を公表しなければならない。前項の規定による届出があったときも、同様とする。

5 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各号の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。

 一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合

 二 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合

 三 特定の者との間で共同して利用される個人データが当該特定の者に提供される場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的並びに当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。

6 個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する個人データの管理について責任を有する者の氏名、名称若しくは住所又は法人にあっては、その代表者の氏名に変更があったときは遅滞なく、同号に規定する利用する者の利用目的又は当該責任を有する者を変更しようとするときはあらかじめ、その旨について、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

投稿者 Ren Yababa

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